美術講座のご報告

第二十八回「ルネサンス美術講座」
  若き日のミケランジェロ
           9月10日(土) 多摩美術大学 松浦弘明教授

 ミケランジェロは1475年にフィレンツェ共和国のカプレーゼに生まれて、ギルランダイオ工房に入り、招聘されてローマに5年滞在していた。 その頃フィレンツェ政庁は新たな世紀を新体制で迎える象徴として、イエスの祖先にあたり、政治や外交という知力にすぐれていたダヴィデの像を欲していた。 ダヴィデは、それまでも彫刻や絵画でとりあげられていて、この時も依頼を受けた彫刻家が準備をしていたが、放置されていた。

 帰国したミケランジェロは、30年以上も放置されていた石塊を利用して巨大な彫像を制作した。 これまでのダヴィデ像は、右手に剣を持ち足元に切り取られた大男ゴリアテの首がころがっているというものだったが、ミケランジェロは、新しいダヴィデを創り出した。 裸の姿で、遠方敵将をにらみつけながら、石を投げるタイミングを計っているかのような像である。

 そのころ、ローマでもっとも評判になっていたのはギリシャの彫刻アポロであり、BC330年のオリジナル像を2世紀にローマで忠実にコピーしたといわれている像で、それが1489年ころにローマ近郊で発掘されて、 その丸彫りの彫像が枢機卿の庭にかざられていたという。 ミケランジェロは、ローマ滞在中、熱心に研究していて、その成果をここに示そうとしたのではないか、ということでした。


フィレンツェ アカデミア美術館


次回は、11月12日(土)
ミケランジェロによる「システィーナ礼拝堂 天井装飾」です。